セクター投資法(銀行・自動車・鉄鋼・海運・IT・不動産・商社・建設)

セクター投資法 日本株投資戦略

景気サイクル投資法、業種別投資法(セクター)など人気の投資テーマが景気や業績見通しによって変化していきます。投資家は投資対象とする業種を切替えていくセクターローテーション投資法は有効だと言われている。

証券会社所属のアナリストは業種別にセクター投資判断、個別銘柄の比較を行い、ファンドマネージャーは株式運用の重要な投資情報として使われています。

参考景気サイクル投資法 ──裏バフェット型手法とは 2021/10/09

銀行株セクター投資判断

大和証券

銀行セクターの決算プレビューでは、第3四半期累計決算の純利益は前年同期比45%増益、銀行通期計画比進捗率も9割を超えると予想。

新型コロナからの脱却は与信費用の平準化が先行する形となり、通期でもガイダンスを大幅に上回る増益決算を見込むものの、翌2022年度以降は利益牽引要素に乏しく、全体では増益率が鈍化に向かうと解説。

配当性向引上げから安定的な増配基調は続くとみて、銀行セクター投資判断は「強気」を継続。長期投資の観点からは、「高利回りで減配懸念が小さく増配基調が続く配当株」と位置付けて推奨しています。

SMBC日興証券

地銀セクターのレポートでは、2022年3月期は各行で高水準の利益を確保する見通しで、資金利益は堅調、役務利益も個人・法人ともに多くの地銀で増益を確保、経費は引き続き減少傾向と指摘。

資金繰り支援の継続で与信費用は低水準が続き、政策保有株などの有価証券売却益も、全体の高水準の利益を支えているとみて、2023年3月期は仮にコロナの感染が再拡大しても、社会的影響を考慮すれば銀行が資金繰り支援を止める可能性は実質的に低く、与信費用は低位安定、2022年3月期並みの利益を確保できると予想。

業種格付け銀行セクターを「中立」を継続。個別では、ふくおかフィナンシャルグループ(8354)の買い推奨を継続しています。

SBI証券

銀行セクターのレポートでは、FRBは早ければ3月に金利を引き上げる可能性が高いと指摘。日銀のETF購入額が減っているなど、これまでの看板とされた緩和策が事実上終わっていることから、次期総裁は緩和策の維持よりも修正に動くとみて、次のポジティブマクロイベントは日銀総裁交代と解説。

来年、日本銀行が実際に利上げしたり、緩和の修正をしたりするかに拘わらず、銀行株価に強気になるケースのひとつは今の「期待」とみて、同セクターに強気スタンスを提案。

個別銘柄では、りそなホールディングス(8308)、三井住友トラスト・ホールディングス(8309)、コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)を買い推奨しています。

海運株セクター投資判断

JCR(日本格付研究所)

海運セクターのレポートでは、業績の大幅な向上によって財務構成が飛躍的に改善していると指摘している。

Ocean Network Expressの利益が大幅に改善、各社とも過去最高益を大きく上回るとみて、LNG船の中長期契約が着実に積み上がり、過年度に実施した事業構造改革の効果もあって、コンテナ船以外の事業についても収益力が向上していると評価。

日本郵船(9101)と商船三井(9104)の長期発行体格付けを「A-」から「A」に川崎汽船(9107)を「BBB-」から「BBB」に引き上げ。

財務構成の改善度合いが大きい日本郵船と川崎汽船は見通しを「安定的」から「ポジティブ」に変更しています。

鉄鋼株セクター投資判断

ジェフリーズ証券

鉄鋼セクターのレポートでは、国内主要高炉メーカーは過去最高のスプレッドを享受し、決算発表ではコンセンサスを上回る数字を出すと予想。

日本製鉄(5401)とJFEホールディングス(5411)は下期配当発表を予定、利回りは魅力的としながらも、鉄鉱石、原料炭、合金の価格上昇によりスプレッドが縮小しているため、中国の鋼材スポットマージンは高値から半減していることに着目。

日本の鉄鋼メーカーへの影響が及ぶことは確実で、日本高炉メーカーの2023年3月期売上は前年比23~48%減になると試算。減配の公算も大きいとみて鉄鋼株セクターの利益確定売りを提案しています。

モルガンスタンレー証券

鉄鋼セクターのレポートでは、COVID-19再拡大によるサプライチェーン分断はリスクも、鉄鋼ファンダメンタルズは総じて堅調と指摘。

自動車挽回生産もあり、2022年度は国内在庫出荷サイクルはピーク近辺にステイすると考え、中期的には中国鉄鋼輸出が更に減少、中国鉄鋼ファンダメンタルズと日本の高炉株価のデカップリングは進むとみるも、そうなるにはもうしばらく時間を要すると解説。

鉄鋼業界投資判断「アトラクティブ」を継続。個別選好順位をJFEホールディングス(5411)>日本製鉄(5401)>神戸製鋼所(5406)の順に設定しています。

空運・航空株セクター投資判断

モルガンスタンレー証券

航空貨物セクターのレポートでは、オミクロン株による新規感染者数再拡大などから、国際線旅客の再開や運航規模拡大の時期は不透明な状況と指摘。

航空フォワーディング業界では、全スペースの約50%を占めるベリース(旅客便のボトムスペース)の供給不足が継続することになり、航空貨物スペースの需給逼迫度は2022年度も大きく解消しないと解説。

海上フォワーディング業界でも、コンテナ船物流を取り巻くSCMの混乱収束には相当程度の時間を要するとみて、世界的なスペース不足継続の恩恵を享受すると予想。

個別銘柄ではフォワーディング事業への専業度が最も高く、バリュエーションの割安感が強い近鉄エクスプレス(9375)を買い推奨しています。

ITサービス株セクター投資判断

三菱UFJモルガン・スタンレー証券

ITサービスセクターの決算プレビューでは、10~12月業績は概ね好調と指摘。

株式需給面や半導体不足への懸念緩和時期を勘案すると、ITサービスセクターがアウトパフォームし始めるタイミングは2022年3月通期決算発表時期を想定。

10~12月期決算では、悪材料が既に意識され下値リスクが小さい、または割安感が強い、中期的な投資テーマを有し業績拡大が期待できる銘柄などに注目。

10~12月期決算での注目銘柄としてTIS(3626)、NEC(6701)、ネットワンシステムズ(7518)を紹介しています。

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商社株セクター投資判断

SMBC日興証券

商社セクターの決算プレビューでは、3Q累計純利益の進捗率は83~89%、通期会社計画は上方修正・増配が相次ぐ決算(伊藤忠商事のみ据え置き。構造改革関連費用の出方次第では住友商事も据え置きの可能性は)を予想。

非資源の保守的な会社計画に対する上振れや、資源価格高による上振れのみだとサプライズ感は生じないとみて、足元の資源価格高を踏まえれば4Qにかけて更に上振れ余地が見込めるものの、概ね株式市場の期待値に沿った内容になると解説。

注目点として、伊藤忠商事(8001)は追加還元の可能性と2023年3月期期初ガイダンス時での増配に着目し、丸紅(8002)は4Qの増配余地と自社株買いや配当ポリシーの変化で期待値が残存する展開を想定。

三井物産(8031)は2023年3月期期初ガイダンス時での増配なら安心感、三菱商事(8058)は4Qでの自社株買いの可能性などをあげています。

自動車株セクター投資判断

クレディ・スイス証券

自動車・自動車部品セクターのレポートでは、2022年は生産正常化が進むにつれて旧来の自動車メーカーの巻き返しが期待できると指摘。

半導体不足の緩和に伴って10~12月期より自動車メーカーの生産には回復の兆しが出てきたとして、市場在庫が歴史的な低水準まで落ち込んだことで、2022年は挽回生産による在庫補完および需要成長、メーカー各社の業績回復が見込まれると解説。

株価バリュエーションは、2021年にアウトパフォームした新興EVメーカーがPSR(株価売上倍率)40~35.1倍で推移しているのに対し、旧来の自動車メーカーはPSR 0.1~2.1倍にとどまっているため、この乖離が縮小する余地が大きいと想定。

自動車メーカーの個別銘柄はトヨタ自動車(7203)、スズキ(7267)、スバル(7270)、ホンダ(7267)を推奨。

自動車部品ではデンソー(6902)をトップピックに、アイシン精機(7259)、NITTOKU(6145)、浜松ホトニクス(6965)も推奨しています。

大和証券

自動車セクターのレポートでは、2022年3月期は台数未達リスクがあるものの、利益面では計画が保守的なうえ、為替差益も加わり会社計画は超過すると指摘。

3Q決算説明会経ても「不透明な生産状況と底堅い利益」が続くとみて、生産不透明感が残る中、2023年3月期の業績期待も高まり難く、盛り上がりに欠ける決算シーズンを想定。

個別株は、トヨタ自動車(7203)の生産回復は他社より早く、減産影響が軽微のいすゞ自動車(7202)と日野自動車(7205)は保守的と見られた会社計画に余裕が少なくなっていると推測され、市場期待比では警戒が必要と解説。

ホンダ(7267)や日産自動車(7201)、三菱自動車(7211)に対しアナリストは「業績上方修正もあり得る」と予想しています。

パワー半導体関連株16社リスト-株式投資テーマから銘柄選びのコツ
銘柄選びのコツ2022年テーマ株「パワー半導体関連銘柄16社」、自動運転、EV、脱炭素社会に向けた省エネにSi(シリコン)パワー半導体からSiC(シリコンカーバイド)や窒化ガリウムが世界で開発されている。日本株で資産運用してる個人投資家向け情報提供。

化学繊維セクター投資判断

SMBC日興証券

化学・繊維セクターのレポートでは、10~12月期決算は7~9月期決算と異なり、幾分か静かなイベントになると予想。

カバレッジ合計の営業増益率(前年同期比)は、7~9月期の+167%から、10~12月期には+30%へ鈍化するとみて、相対的に電子材料メーカーの好業績が目立ち、上方修正を行う銘柄はさほど多くないと予想。

化学・繊維業種格付け「強気」を継続。決算に向けての銘柄選択として、東京応化工業(4186)、日東電工(6988)、信越化学(4063)、旭化成(3407)を特に選好しています。

不動産株セクター投資判断

モルガンスタンレー証券

不動産セクターのレポートでは、COVID-19発生を通じて東京のテレワークを取り巻く働き方環境は様変わりしたと指摘。

多くの企業がテレワークを行える環境を整備したことによって、ニューノーマルに移行する可能性がより高まったと判断、2022年末のオフィス空室率見通しを4.8%から5.1%に、2023年末を5.3%から5.9%に下方修正。

国内マクロ環境は不動産株のサポート要因になると考えるものの、不動産株を取り巻くリスクリワードは悪化したと考え、不動産業界投資判断を「アトラクティブ」から「インライン」に引き下げています。

建設株セクター投資判断

SMBC日興証券

建設・建材セクターのレポートでは、業績は大手ゼネコン中心に2018年をピークとして後退局面に入り、バリュエーションは業績悪化を織り込んで低位にあると指摘。

2023年3月期の反動回復が一部企業で期待できるものの、価格競争が強まる中では中期的な利益再成長を見込み難く、ポジティブなカタリストに欠けると解説。

株主還元強化・資本効率向上やガバナンス強化など非財務要素の変化に期待し、建設建材業種格付け「中立」を継続。

個別では、三和ホールディングス(5929)、コムシスホールディングス(1721)、大林組(1802)の買い推奨を継続しています。

「会社四季報」業界地図 2022年版



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