出光興産創業者一族の昭和シェル経営統合阻止策
出光興産の創業家は昭和シェルと経営統合に反対を表明
石油業界大手の出光興産(5019)と昭和シェル(5002)が経営統合を目指すことになっていたが、出光興産の創業家側が経営統合に反対表明をした。出光昭介名誉会長が昭和シェル株式を40万株取得したと発表した。
2016年8月3日午後、出光興産創業家の代理人弁護士が記者会見を開いた。会見内容は創業家が昭和シェルとの経営統合に反対していること、出光昭介名誉会長が昭和シェル株式を40万株買付した事、今後については追加取得の可能性も示唆した。
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経営統合に反対しているのになぜ昭和シェル株を買った?
経営統合する相手先(昭和シェル)の株式を買うなら話はわかるが、統合に反対するのに株式を買うのはおかしいじゃないか?と普通は思うが、これには深い意味があった。
出光創業家は出光興産の大株主、6月の株主総会で経営統合に反対していたが、出光興産経営陣はロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル株33.3%を9月メドに1691億円で取得する予定だった。
出光創業家は昭和シェルとの経営統合を阻止するために、40万株の昭和シェル株式を購入。これによって出光創業家と出光興産は昭和シェル株式の3分の1を超える株主になるため市場外でロイヤル・ダッチ・シェルから株式を購入することが法的にできなくなった。
金融商品取引法で3分の1を超える株式を60日間で買い付ける場合はTOB(株式公開買い付け)をしなければいけないルールになっているからだ。どうしても出光興産が昭和シェルとの経営統合を2017年4月までにするのであれば、TOBしか選択肢が無くなってきた。
しかしTOBとなる場合には、買収金額が想定以上に増える可能性が高い。8月3日の終値で昭和シェル株は939円、報道があってから午後急騰した。一方、出光興産株価は80円安の1984円と乱高下した、創業家と経営陣のゴタゴタが不安定すると投資家が判断したからだろうと言われている。
出光昭介名誉会長は代理人の弁護士を通してコメントを発表。
「異なった経歴の中で成立し働いている人々を、出光大家族の中に加え、同様に面倒をみていくことに私は非常に危惧の念を抱きます」
出光大家族と表現していることからも創業家色の強い企業だということがわかる。
出光昭介名誉会長が昭和シェル株式を40万株買付報道の後の株価
8月3日、午後に昭和シェル株価が急騰、出光興産がTOB(株式公開買い付け)に踏み切れば株価はもっと値上がりするだろうと思惑が投資家に広がり買われた。
一方で出光興産の株価は終日軟調だったが、創業家側が昭和シェル株式を40万株購入した報道を受けて株価が上昇する局面もあったが前日比プラスにまで値上がりせず、午後3時前には値上がりした分を帳消しにするかのように上げ幅を縮小した。
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