来年の株式市場の見通しと参考銘柄
【SMBC日興】
半導体セクターのレポートでは、株式市場での回復期待はやや先行し過ぎでファンダメンタルズと現状の株価動向に大きな開きが生じている印象と指摘。悪材料の織り込みは進んでいるものの、来期は楽観的見方が強いとして、メモリ市場も調整が速やかに行われるためには最大手の調整が必要と解説。業種格付け「中立」と、サブセクター選好順位、半導体デバイス>半導体パッケージ>半導体製造装置を継続しています。
【モルガンスタンレー】
鉄鋼セクターのレポートでは、国内の鋼材価格は、高炉のアグレッシブな値上げが奏功し大きく改善。海外市況が既に大きく下落している中、国内の鋼材価格は高止まりしていると指摘。それでも、海外鋼材価格との差は過去最大水準まで上昇、防波堤として機能していた円安も円高基調となっている中、国内電炉は既に値下げを発表し、国内の店売り価格もピークアウトを示していると解説。航路各社の鋼材価格下落、マージンのやや悪化を予想し、業界投資判断を「インライン」から「コーシャス」に引き下げ。選好順位を日本製鉄>JFE>神戸製鋼の順に設定しています。
【モルガンスタンレー】
タイヤセクターのレポートでは、2022年に新車供給不足によって高まった交換用タイヤ需要が、23年は反動で悪化すると予想。収益性が低い新車タイヤ比率の上昇、収益性が高い市販タイヤ比率の低下によるミックス悪化が各社の逆風になるとみて、原材料市況や海上運賃価格の下落は23年のコスト抑制にポジティブも、Tier2以下のタイヤブランドでは価格競争が起こるリスクがあると解説。業界投資判断「インライン」を継続、投資魅力度を、横浜ゴム>ブリヂストン>TOYO>住友ゴムの順に設定しています。
【クレディスイス】
電子部品セクターのレポートでは、直近の株価リバウンドから株価上昇ペースが鈍化する可能性はあるものの、MLCC受注底打ち確認による下値固めもあり、旧正月後の回復モメンタムが確認できれば更なる株価上昇が期待できると指摘。在庫調整終了は7~9月以降になるとの見方が大勢を占め始めているも、FC-PKG基板銘柄は10~12月から23年にかけてサーバー世代交代によるミックス改善の恩恵を享受すると解説。個別では、村田製作所、太陽誘電、イビデン、新光電工の買い推奨を継続しています。
【SMBC日興】
洋上風力発電のレポートでは、日本は四方が海で囲まれた世界第6位の海洋国家のため、洋上風力発電のポテンシャルは高いと指摘。洋上風力発電を「裾野の広い産業」と位置付け、日本政府は官民一丸となって一大産業として育てていきたいとしていることに着目。年内には着床式洋上風力発電事業者選定の第2回目の公募を予定、投資テーマとして再注目されやすいタイミングとみて、脱炭素社会実現への切り札とも評価。関連銘柄として、大林組、戸田建設、五洋建設、東レ、住友電工、JFE、NTN、日立造船、三菱商事、東京電力、レノバを取りあげています。
【東海東京】
見通しでは、10月以降相場の潮目に変化が見え始めていると指摘。これまでグローバルでの金融引き締めや景気減速への警戒感が重しとなり、国内でもグロース株を中心に下落が続いていたものの、10月以降の日本株は、年初来から特に下落の大きかった銘柄が反発の兆しを見せるなど物色に変化がみられていると解説。投資アイデアとして、株価が年初来でマイナスに位置しながら、経常利益ベースで来期以降2ケタ増益が見込まれる銘柄の「逆張り」スタンスを提案。対象銘柄として、シスメックス、JMDC、日本電産、JSR、ダイフク、デンソー、カカクコム、SMS、テルモ、小田急、東京センチュリー、豊田自動織機、ダイキン、日産、カシオ、スタンレー電気を紹介しています。
【みずほ】
2023年の見通しでは、2023年の景気は欧州でリセッションがほぼ確実、米国はリセッション入りの可能性が高まっている一方、日本はリセッション入りの可能性が低く、物価も相対的に安定していると指摘。11月第4週、外国人投資家は7月第1週以来の日本株大幅買い越しになったものの、2023年前半に電子部品の在庫サイクルが好転すれば、外国人投資家の日本株買いに拍車がかかると解説。円ドルレートが安定してきた中で、外国人投資家は為替差損を気にせずに日本株を買える環境が整ってきたとみて、日銀総裁の交代や広島でのG7サミットなどの主要イベントも日本が世界で注目されるきっかけになると想定。2023年後半の日本株の相対パフォーマンスはFRBや日銀政策の転換に依存するものの、2023年前半の日本株は他主要国株をアウトパフォームすると予想しています。
【証券ジャパン】
見通しでは、日経平均は200日移動平均をメドとして、高配当利回り銘柄、リオープン銘柄などを中心に押し目買いで臨みたいと指摘。ドル円は リスクオフによる下落リスクが残るものの、200日移動平均水準まで急落したことなどから調整一巡感が出ると想定、円高リスク(会社側の下期想定為替は1ドル135 円超の円安にしているところが多い)による輸出関連の売りも 限定的になりそうと解説。参考銘柄として、古河電工、三越伊勢丹、カオナビ、資生堂、エーザイ、日本電波を紹介しています。
【立花証券】
見通しでは、国内経済のリスタートやインバウンド需要回復などにより、内需は米国とは逆にこれからの本格回復を予想。海外投資家が10月以降、円高基調となるなかで買い越しに転じていることに着目して、日米の景気循環サイクルのステージの違いを考えると、日本株は投資資金を呼び込みやすい状況と指摘。下値では事業法人の自社株買いや個人投資家の押し目買いが期待できることから、日本株は米国株よりも堅調な展開が続くとみて、来期業績反転が期待できる企業、独自の技術力や製品力、市場支配力で業績続伸が期待できる企業への投資が一段と重要になると解説。参考銘柄としてトレンダーズとオリンパスを紹介しています。
【野村】
ホテル業界のレポートでは、ホテル事業の業績回復は期初想定に比べて遅れたものの、始まったばかりと指摘。インバウンド需要増加で業績回復の可能性が高いホテル関連銘柄に対する投資家の関心は引き続き高いとして、景気の悪化が本格化してくるようだと、ホテル関連株への関心はさらに高まる可能性があると解説。ホテル事業が主力の共立メンテナンスや藤田観光のバリュエーションは相対的に高いとしながらも、ホテル事業が副業の西武HDや三井不動産、大和ハウスは、まだ割安感があると判断、買い推奨を継続しています。
【みずほ】
テクニカルでは、9月末をボトムとした日本株ベアマーケットラリーは終了した可能性が高くなっていると指摘。日本株が米国株に対して出遅れる状態が続くと考え、今週は週末にSQ、来週以降米国でCPIとFOMCを控えていることもあり、手仕舞い売りが優勢になりやすく日経平均27000円、TOPIX1900ポイントが下値メドになると解説。13~14日のFOMC後は米国株安を受け年末にかけ下値模索となり日経平均26000円、TOPIX1850ポイントを下回り、日米ともに下値模索になりやすい不安定な状態は来春まで続くと予想しています。
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